千住のコンテンツ感想ノート

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【ウルトラマン初見】シン・ウルトラマン【明星の神話】

 シン・ゴジラもシン・エヴァもおもしろかったので、じゃあ是非にとシン・ウルトラマンを観に行ってきました。

 ウルトラマンシリーズは完全に初見で、名場面集の番組でスペシウム光線を見たことがある程度でした。ウルトラマンに限らず特撮はほとんど見たことがありません。

 

 そんな特撮初心者、ウルトラマン初見者の目でシン・ウルトラマンのあらすじをまとめるならば「圧倒的な科学力を持つ異星人ウルトラマンにとって人類がどれだけ保護活動家におけるネコチャンかを2時間説明しており、愛と堕天の物語だった」でした。

 

 SFにおいて超存在との邂逅や、不意に人類の科学力にそぐわない道具を手に入れてしまう、といった筋書きは多くあります。それらに加えてシン・ウルトラマンの面白かった点は、前半はよくあるSFとして不気味なウルトラマンの話をしていながら、彼が殺してしまった現生人類と融合したことにより、後半は人間が可愛くてたまらない彼の視点で話を進めていたところのように思います。

(メフィラスがウルトラマンと公園で交渉するシーンがありましたが、ネコチャンに囲まれながら「野良猫は保健所主導でもっと厳しく管理すべきだよね」って保護活動家を説得するようなもので、決裂すべくして決裂したなとか)(助けにきた浅見に「きみがそういうキャラだったとは」というところとか「このネコチャン私が犬に襲われたら威嚇してくれるんだ」って趣があったなとか)

 

 超存在がどんどん我々に近づき、そして完全に元の体を捨てて堕天するまで。神話好きの私としては、とてもライトでよい神話だ、という感想も持ちました。無宗教に育ち、自己責任の社会に放り出されると、自分のベースを支える大きな愛に飢えます。異星から来た大きな銀色の巨人が、まるで野良猫に餌と水と病院の世話をしてくれる保護のおじさまのように、我々を気に入ってくれたらとても嬉しく安心するでしょう。シン・ウルトラマンにはそういった魅力もありました。

 

 一方で人間の描写についてはやや不満が残りました。シン・ゴジラを先に観てしまっていたせいもありますが禍特隊のキャラ性がやや幼稚だったように思います。それもウルトラマンから見ればどうせみんなネコチャンなのでもしかしたらわざとそうしたのかもしれません。逆転の要となる滝くんの掘り下げがもっと欲しかったので、案外ストレスに弱くスイーツをどか食いしてしまう描写や、巨大化エピソードの主役は彼にゆずってよかったのではないでしょうか? 元の作品のオマージュなのかもしれませんが、女性キャラの扱いについては時代遅れの部分として切り捨ててほしかったです。

 

 特撮の文脈で見せられる戦闘シーンの描写も目に新しく、とても新鮮な体験ができました。帰りに「おもしろそうな映画のチラシがあるな」と手に取ったらシン・仮面ライダーだったので、庵野監督の次作もとてもたのしみです。

 

 

実は米津玄師の大ファンで、当初のお目当ては新曲でした。オタクにルーツを持つ彼の解釈力はやはり流石ですね……!