千住のコンテンツ感想ノート

美術展・ゲーム・書籍等の感想

魔法の世紀【感想】

通ってる大学にすごい人がいるらしいぞ、ということで手に取りました。大学教員でメディアアーティストな落合陽一先生の著書です。

 

アーティストの頭の中を知ろうと手に取った本がただのポエムで何度舌打ちしたかわかりませんが、本書は非常に面白かったです。「xxとは何か。xxという歴史的経緯から、xxである。将来xxになるだろうから、僕はxxをしている」という流れを崩さず、圧倒的知識量と明確な文章で著者の考えが綴られています。

 

できるだけわかりやすく構成されてはいますが、専門書の性質を持ちます。「計算機としてのパソコンに興味がある」「美術館や美術史に興味がある」の二つの性質を持っていないと、知らない単語が多すぎるかもしれません。単語をざっくり知ってさえいれば、貴重な参考書になると思います。大学で学問したい人にも。アートティストを目指す人にも。研究者を目指す人にも。こういうキャラクターを造形したいシナリオ・小説書きにも。SFを書きたい人にも。

 

「常識が崩壊する音を聞きたい」そう言いながら美術館に通う自分にとって、感覚の拡張、人間の知覚を超えた計算機表現に挑む人は福音です。先生の今後の活動が楽しみになりました。

 

魔法の世紀

魔法の世紀