千住のコンテンツ感想ノート

美術展・ゲーム・書籍等の感想

射精道

 Amazonを見ていたら唐突におすすめされ、その場で購入しました。大学一年生のときは精液検査を専攻しようと思っていたくらい、精液の好きな女でした。最初の恋人が適切な対応で性への肯定的な感覚を育てくれたおかげだと思います。結局精子から転じて遺伝子検査を専攻しましたし、今なお興味関心は高いままです。あまり期待しないで数のうちとして手に取りましたが、空前絶後の良書でした。

 

 

 本書P24によると「『射精道』とは、陰茎を持って生まれ、性生活に陰茎を使う男性が守るべき行動規範と(中略)機能性を維持するための知恵を言語化してまとめたもの」だそうです。難しそうですが、正しい自慰行為や性行為の心構え、陰茎の手入れなどを短く平易な言葉で解説する新書です。泌尿器科医師として性知識の不足を原因とする患者さんたちに向き合い続けた著者の綴る解説は、現場感覚に裏付けられたツボ選びと温かな慈愛に満ちています。

 

 先に引用したように、基本的には男性読者が想定されていますが、私は女性こそ読む価値のある本だと思います。女性をパートナーに選ぶ男性に生理の知識が必須であるように、陰茎を持って生まれた者を正しく愛するため、女性も射精の知識を得てこそ豊かなパートナーシップが生まれるのではないでしょうか。

 

 また、この本を読むと「こんなに心根のまっすぐな男性もいるんだな」と心強くなることができます。女性には少なくないと思いますが、私も利己的なパートナーに心身を傷つけられ、男性は女性を大切になどできないと見下していた時期がありました。そんなとき、持って生まれた武器と正面から向き合い、本物のパートナーシップを望む男性もいること、そんな男性のための本があることを知れたらどれほど回復が早かったでしょうか。

 

 思春期編から中高年編まで網羅されており、読者の年齢も選びません。ぜひ一家に一冊と強くおすすめしたくなるような本でした。