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【ネタバレ感想注意】機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season1【初ガンダム】

 ガンダムシリーズはひとつも観たことがなかったのですが、趣味の近い周囲の評判があまりにも高かったため、初めて視聴しました。

 

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 ストーリの主軸としては、強力ながらパイロットの生命を脅かしてしまうロボット兵器操縦技術「ガンドアーム」とガンドアーム搭載機「ガンダム」を巡るSFとなっています。学園のパイロット科に編入してきた主人公のスレッタが持ち込んだ機体エアリアルは、果たしてガンダムなのか? もしガンダムならなぜスレッタは無事なのか? と謎が謎を呼ぶ展開となっています。

 

 しかしSeason1で目立つのは物語の第二軸である、親子の確執の物語でした。学園では資本力のある会社の役員血族や社員血族が権力を握っていたり、争いを裏工作ありの不平等な決闘で白黒つけたり、かなり治安の悪い状態になっています。ストーリーの端々から伺うかぎり、宇宙開発の高度化に伴い国家概念が崩壊し、人々の感覚が中世的貴族社会に逆戻りしてしまっているようです。その中で「親の政争の道具にされてしまっている子供」と「社会のなかで上手くやるにはそうするしかない親」の確執がスレッタたちの日々を転がしていきます。

 

 既に要素がかなり多いのですが、観ていて散らかっている感じはありませんでした。この中世的な世界観のおかげで日々あたりまえのように決闘が開催され、決闘シーンでは非常に美麗なロボットアクションを楽しむことができます。政略結婚の道具にされてしまっている子供たちの間に芽生える愛憎からは学園ラブコメディの要素が生まれます。有能な学生たちが貴族社会を戦ったり利用したりするサクセスストーリーも面白いです。さすが世界的有名シリーズ、巧みな構成にうなるばかりでした。

 

 Season1最終話近くでは、メインヒロインとライバルが父親と和解するシーンが見られました。親子の確執の話はここで終わり、Season2からは別な物語が始まるのでしょうか? さらに終盤は学園を離れた際、テロリストの襲撃を受け、初めて決闘でない本物の戦争が発生します。気弱な主人公が殺人の覚悟とともに血飛沫を踏み越えるシーンは、心の痛むものがありました。また、ガンダムを兵器として量産して売ろうとしていたメインヒロインが、目の前でガンダムが人を殺すのを見て「人殺し」と恐怖する最終話は強烈でした。彼女たちの中で確かな手触りを持ってしまった兵器と戦争は、彼女たちの生活をどう変えてしまうのでしょうか。Season2が待ち遠しくてなりません。

 

 

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