千住のコンテンツ感想ノート

美術展・ゲーム・書籍等の感想

【前半】PSYCHO-PASS【感想】

 2012年から放送されていたアニメです。『沙耶の唄』『まどかマギカ』で虚淵玄さんのファンになったため、遅ればせながら視聴開始しました。11話がすばらしかったのでここで一度感想を書きとめようと思います。

 

 虚淵さんのシナリオは二人の主人公を動かしていくのが上手ですよね。一人は視聴者に視点が近い、何も知らない状態で事態に巻き込まれていく主人公。もう一人は物語開始時点で既に核心に迫っている、英雄としての主人公。二人は出会うことによって成長し、事件に最後の一手を打つことができる。『PSYCHO-PASS』もそういう構成なのが見て取れます。

 

 SFやファンタジーでは「その世界観で一番の弱者を主人公に、一番の強者を敵に」するとよいと言われていますが(出典を失念していて申し訳ないです)、本作もその原則がきちんと守られています。主人公は、シビュラシステムによって執行官に降格した狡噛慎也とシビュラシステムの言いなりで生きてきた常守朱。そして11話で敵として姿を見せたのは、シビュラシステムでは犯罪者と認識されない槙島でした。タイトルと違う方の「サイコパス」登場に胸が踊りましたね〜。

 

 シナリオの構成も定石を最大限に活かしたものとなっています。 三幕構成で言うmid point、ヒーローズ・ジャーニーで言う最大の試練にあたる11話が特にすばらしい。狡噛は消耗から武器に手が届かず、常守は思想の転換を強いられる。追いつめるべきところをしっかり追いつめて視聴者を鬱にしています。ここがターニングポイントであったことを視聴者が意識できるよう12話からオープニングを変えているのも、よくある手法ながら気が利いてますね。

 

 ここから最終決戦にむけて狡噛や常守がどう変化していくのか、とても楽しみです。