森美術館で開催中の展覧会です。茨城出身・在住の私にとって東日本大震災はいまだ生々しい出来事で、惹かれるように見に行ってきました。
天災・人災・家庭崩壊・難民問題など様々な惨事(カタストロフ)を伝えることや乗りこえること、そのために創られた作品たちの展示会でした。ただ悲惨なだけじゃなく希望や決意を与えるような作品がほとんどで、思ったより暗い気分になりませんでした。
↑震災で廃業となった喫茶店に施されたトリックペイントの再現。役目をなくした部屋に大迫力のラッキースターが浮かび上がる
事実をありのまま伝えることも、現実的な復興政策ももちろん必要なことです。でもそれだけでは埋まらない部分を埋めてくれる展示ばかりでした。まさにカタストロフに対抗する「美術のちから」をたっぷり体感できます。
↑紙やビニルテープでできているはずなのに息を飲んでしまう。奥の壁には破壊と創造に関する格言が見えている
大型の展示や参加型の展示が多く、美術初心者でも楽しめます。映像作品やレポなどをじっくり見たい人は時間を多めに見積もって来た方がいいかもしれません。
↑キービジュアルにもなっている展示。「平和への祈りを書いてください」とクレヨンをわたされた。ほとんどの書きこみは潰れて読めず、祈りの洪水の中で小舟が転覆している
人が死んだり泣いたりする場面を見せつけるような展示はありません。あくまで前向きな展示ですので、多くの人にオススメです。