千住のコンテンツ感想ノート

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【夢か現か】インセプション【再上映4DX】

クリストファー・ノーラン監督による十年前の映画です。以前DVDを借りて観賞し、いつか映画館で観たいと思っていました。幸運にも同監督の新作『テネット』の宣伝に合わせ『ダンケルク』と共に4DXの再上演が始まりました!

 

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ジャンルはSFアクション。あらすじとしては、夢に潜入し機密を盗む産業スパイが、思考の抜き取りではなく埋め込みを依頼される話です。埋め込みは不可能だと主人公の相棒はいいますが、主人公は夢から出たがらなくなった妻に埋め込みを施したことがありました。「ここは現実ではない、帰らなくては」というinception of the ideaに支配された妻は自殺し、主人公は妻殺しの容疑で国に帰れなくなっています。埋め込みの成功と引き換えに国へ返してやると言われた主人公が挑む最後のミッションです。

 

この映画の見所はなんと言ってもスケールの大きな夢世界です。CGと大掛かりな舞台装置を組み合わせて作られる、ありえそうでありえない世界。どこまでがCGでどこからが物理的な装置なのか、上映中はまったくわかりません。重力が狂ったり、錯視が顕現したり、あるはずのないものがあったり、本当に夢に入ったかのような美しい世界に翻弄されます。その中で生き残ろうとする主人公たちの派手なアクションもたまりません。

 

主人公は過去に埋め込みに成功していますが、そのトラウマ から夢の端端に妻が現れ主人公を邪魔します。過去が現在に侵入する病として知られるPTSDの表現という意味でも、本作は目を見張るものがありました。

 

ちなみに、4DXでの映画観賞は初体験でした。まるでインセプションのためにあるかのようなシステムです。「ここは夢か現実か?」という問いかけが何度もなされるこの映画で、座席の傾きや風によって観客も映画と現実の境目が曖昧になっていきます。曖昧になった心は、作中で夢脱出の合図として使われる曲が流れることで帰してもらえるので、スタッフロールは最後まで見るのがおすすめです。

 

(わがままを言えば雪や煙のエフェクトが出ると画面と現実の境目がかえって強調されて現実に引き戻されてしまったので、進化を切に望みます)

 

インセプション』は十年経ったいま観てもまったく古びていませんでした。来月公開の最新作『テネット』は時間をテーマにしたSFアクションということで、『インセプション』を超える演出が観られるのかと思うと楽しみでなりません。

 

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